孔子は、中国春秋時代末の混乱期に生きた思想家で、儒家の祖。孔子の死後、弟子たちが編纂した『論語』は、彼と弟子たちの言行録であるが、彼の思想を表すとともにその教育の実践記録でもある。孔子の生涯は、経済的には必ずしも恵まれたものではなく、若くして両親と死別し、「十有五にして学に志し」(『論語』為政第二の4)、貧困のうちに苦学しながら詩書礼楽を中心とする古典を学んでいる。そして、彼は、まず下級官吏になり、やがてその功績が認められてだんだんと名声が高まり、50歳を過ぎた頃、政治家に転身し、魯の中都の宰(市長)、さらには司空(上木や厚生を担当する長官)や大司寇(司法の最高責任者で最高裁判所長官にあたる)にまで上り詰める。しかし、やがて失脚して流浪の旅に出る。晩年は魯に戻り、弟子たちの教育と古典の研究に力を注ぐ。孔子は、若い時は混乱期の社会秩序を立て直すために、政治的な能力を持つ人材の育成に重点をおいていたようであるが、晩年、魯に戻ってからは、むしろ人間形成に力を注いだのである。
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