自動車解体業者はかつて全国でおよそ七〇〇〇を数えていた。それが一九九三年には四〇〇〇ほどになっているという。全国各地でクルマが山積みになっている光景をよく見るが、このすべてが解体されるのを待っているわけではない。なかにはかつて解体業を営んでいたが、鉄屑の市況が悪くなって職を替えたため、解体されずにそのまま放置されているものもかなりある。そのような業者はいつかまた市況がよくなるだろうという希望を抱き、そのときに備えて山積みにしたまま放置しているのである。関係者によると、自動車解体業がそこそこ儲かったのは一九八〇年ころまでだという。それ以降になるとクルマに使われている金属の価格が低迷し、業者の収入が頭打ちになってきた。一方で他の職種の賃金が急激に上昇したため、自動車解体業はわりに合わない商売になった。こうして業者の多くはより実入りのいい職へと変わっていった。